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事例研究会

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・ H15-H17の研究会

次回事例研究会開催予定

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 (社)日本経営工学会関西支部 平成22年度 第1回事例研究会のご案内
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                    (社)日本経営工学会 関西支部
                          支部長 大坂 吉文
                         副支部長 本位田 光重
                      事例研究会主査 小笹 淳二
                           副査 松本 毅

標記研究会を以下のとおり開催いたします.万障御繰り合わせの上,御出席下
さいますよう御願い申し上げます.

日時:平成22年9月11日(土) 14:00~17:00

場所:ダイキン情報システム株式会社
   〒541-0042 大阪市中央区今橋2丁目4番10号 大広今橋ビル4階
    Tel:06-6208-5130(代)
    詳細は
     http://www.dki.co.jp/office/osaka.html
    をご参照下さい.

参加費:1,000円(事前申込みは不要でございます.)

(注)正会員(大学関係)の所属ゼミの学生さんは参加費無料です.
   ただし,人数確認のため正会員から必ず事前に参加者氏名を
   事務局までお知らせ下さい.

概要は以下のとおりです.
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<講演Ⅰ>「産学連携によるものづくり人材育成
     -大阪工大のものづくりマネジメントセンターの活動-」


ご講演者:
 大阪工業大学 工学部 ロボット工学科/技術マネジメント学科
 教授 本位田 光重 氏

(概要)
 大阪工業大学のものづくりマネジメントセンターは2006年10月に開設され、産
学連携のものづくり人材育成の拠点として様々な活動を行ってきました。関西生
産性本部が中心となって経済産業省の委託事業として始まった「ものづくり改革
プロ育成コース」から、文部科学省委託事業の「社会人の学び直しニーズ対応教
育推進プログラム」、タイの泰日工業大学の学生を対象とした研修、日本経営工
学会による学生向け夏期インターンシップまでの活動事例などを中心にお話しし
ます。当センターでは講義と演習を組み合わせたプログラムが主体であり、その
中でも模擬生産ラインを用いた組立実践型の演習が一番の特徴です。これまで社
会人から学生までさまざまな方を対象として様々なプログラムを実施してきてお
り、今回はそのプログラムの概要とこれからの活動の可能性についてお話ししま
す。

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<講演Ⅱ>「最近の“経営見える化システム”事例」

ご講演者:
 株式会社エヌエスソリューションズ関西
 (新日鉄ソリューションズグループ)
 シニアマネージャ 山北 和司 氏

(概要)
“見える化”する企業システムとしては、1970年頃に出始めた意思決定支援シス
テムを発端に、ネットワーク設備・エンドユーザコンピューティングの浸透と共
に、データウェアハウス、データマイニングシステムが構築されてきました。こ
れらのシステムは、部分最適であっても全体最適になっておらず、経営意思決定
者が本来欲しい情報をタイムリーに提供していない事も多い様です。他方、グロ
ーバル経営、安価なストレージ、ソフトウェア製品の充実の背景もあり、目的に
則した「経営見える化システム」を検討されている企業は多くなっています。私
は、システムエンジニアとして2000年頃から本領域のシステム構築に携わってい
ますが、本会では、最近のシステム化企画・設計で用いています画面、構築の進
め方事例を御紹介したいと思いますので、皆様の御研究の何かのヒントになれば
幸いです。

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開催済み研究会

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平成21年度 第3回事例研究会
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日時:平成22年4月10日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:14名
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<講演Ⅰ>「弱小ソフトウェア開発会社が目指すFREEへの挑戦」

ご講演者:
 株式会社スリート
 代表取締役 吉川 徹 氏

(概要)
 サブプライムローンに端を発した世界金融危機によりソフトウェア業界も例に
も漏れずここ1年で急速に変化してきています.従来,派遣をメインにしていた
企業は,多数廃業に追い込まれたり,業務縮小を余儀なくされています.ソフト
ウェア開発会社は,大阪市中央区だけでも約800社ありますが,多くが業務委託
もしくは派遣による営業をしています.つまり商品は「人」であり,「製品」や
「サービス」では無いことを意味しています.
 世界25カ国で刊行され,日本でも16万部の大ベストラーとなったクリス・アン
ダーソン著の『FREE』.今回の講演では,弱小ソフトウェア会社が生き残ってい
くために,『FREE』をキーワードとして,製品やサービスを世に広めていくため
にはどのような戦略をとれば良いのかを著書を元に解析し,起業という観点や経
営という観点で実経験を織り交ぜながらお話します.
 今後の皆様の研究過程において,何かのヒントになることができれば幸いです.

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<講演Ⅱ>「仕事は創造するもの
     ~ ノーと言わない企業経営 ~」


ご講演者:
 株式会社プロアシスト
 代表取締役 生駒 京子 氏

(概要)
 大学卒業後,大手ソフト会社に就職し,当時ではまだ少なかった女性のシステ
ムエンジニアとして松下電工(現パナソニック電工),日本IBM などの仕事を担
当して参りました.その後,約1年の専業主婦を経て,1994年に一人で起業
し,プロアシストを設立.
 計測・制御を中心とした組込みシステムや WEBシステムなどのソフトウエア開
発,また大学や大手企業との共同開発でセンサーなどのハードウエアも手掛けて
おります.
 創業時から今まで私が経営のモットーとしてきたこと,また,経験してきたこ
となどをお話させて頂きます.

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 『FREE』では,商品としてのサービスが無料で提供されるモデルを (1)直接的
内部相互補助(例:モバゲー),(2)三者間市場(例:Gyao),(3)フリーミアム(例
:iアプリ),(4)非貨幣市場(例:オープンソース)の4つに分類している.(株)ス
リートでは,(1)と(3)のモデルに着目している.これらは,基本機能は無料で提
供し,オプション機能やプレミアム製品に対して課金するモデルである.
 日本でのインターネット利用者数は2007年の時点で8000万人を上回っており,
2001年以降は携帯電話からの接続も大きな割合を占めている.
 (株)スリートでは,ソフトウェア開発のために,Web上で利用可能な独自のPHP
フレームワークを構築した.このフレームワークは無料で利用することができ,
製造の効率向上や納期短縮,および低価格化を実現することができる.
 また,ホテルの予約システムをパッケージ化した.近年インターネットによる
宿泊予約が顕著に増加しているが,全国で約6万軒ある宿泊施設のうち,大手宿
泊予約サイトに登録しているのは約3万軒,フロント基幹システムを導入してい
る施設は約800軒に過ぎない.これはフロント基幹システムが高価で,大規模な
施設でなければ手が出ないからである.予約サイトに登録している場合でも,予
約発生時に手数料を支払う必要があるのが現状である.そこで(株)スリートのパ
ッケージはフロント業務に特化したものを基本的に無料で提供し,カスタマイズ
等で課金するモデルを考えている.
 さらに,「ほんもの体験」Webプロモーションシステムを提案している.これ
は,「ほんもの体験」と呼ばれる体験型観光の主催者・宿泊施設・ユーザを「ほ
んもの体験Webポータルサイト」でつなぐことにより,宿泊予約と体験予約の連
動,体験プログラム実施地域の特産品情報発信,顧客データの蓄積を生かしたマ
ーケティングなどを可能にするものである.この体験プログラムにおいて基本機
能は無料であり,予約成立時の手数料や,分析マーケティング機能等のオプショ
ン提供機能に対して課金するモデルを考えている.
 以上のように,(株)スリートは,無料サービスを基本としつつも収益を上げる
モデルに挑戦しているのである.

        (文責:北田 学(大阪府立大学大学院,博士前期課程2年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 昨年7月に出版されたクリス・アンダーソンの「FREE」は,発売と同時に,2週
間限定で全文を無料でダウンロード可能にするという「フリーミアム」(有料の
プレミアム版の利用者が無料利用者をカバーするモデル)の実践として話題にな
り,有料の書籍も世界25ヵ国で刊行されるベストセラーになった.日本でも4ヵ
月後にその邦訳「フリー <無料> からお金を生みだす新戦略」が出版され,16
万部のベストセラーになっているとのことである.吉川氏の講演では,まず上記
の書籍などに基づき,FREEのはじまり,FREEの4分類,すなわち①直接的内部相
互補助,②三者間市場,③フリーミアム,④非貨幣市場,などの解説をされた.
そしてFREEのビジネスモデルの具体的な構想システムとして「ホテル予約システ
ム」「ほんもの体験ネットワーク」について説明された.新しい潮流の一つとし
て注目されているネット上のフリーを利用したビジネスモデルに関する大変興味
深い内容であり,若い吉川氏のご活躍に期待し,何年か後に,結果を含めてのご
講演をぜひ期待したい.

                   (文責:宇井 徹雄(大阪工業大学))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 小さな企業であっても,自分の得意な分野の専門性を活かすことで,必ずお客
様のために役立つことができる.(株)プロアシストでは,計測・制御技術とWeb
アプリケーションとに専門性を置いている.計測・制御技術では,特にアナログ
信号のノイズキャンセル・微小信号処理が強みであり,回路設計からチップ設計
までを担うことでハードウェアを提供することができる.Webには早い時期から
着目しており,グローバルな情報共有時代への対応を視野に入れていた.現在で
は「工場とものづくり支援」「企業とICTサービス」「人とライフケア」という3
つの方向性をもってビジネスに取り組んでいる.
 技術を進化させ,その進化を強みとしている.そのため,業務提携は単なるオ
フショアではなく,高い技術を活かすことが重要だと考えている.
 また,仕事においては「常にお客様の満足」を考え,自己満足に陥らないよう
心得ている.仕事の依頼があれば,できない理由を考えるのではなく,できるよ
うにする為に何が必要かを考え,自分たちができる目途があるなら受けるべきで
あると考えている.お客様の問題解決に当たっては,依頼された仕事のみに集中
するのではなく,そのお客様が困っていることを聞き出して,その解決にも取り
組むことで仕事を創りだし,ビジネスのチャンスを逃すことのないように努めて
いる.
 既存社会にはない,新しい社会が必要とする特性を生み出す企業となることで,
多様化時代に対応して生き残ることができている.
 さらに,仕事に取り組む際には,ただワークをこなすのでなく,工夫し,アイ
デアを出すことで仕事に楽しみを見出すという姿勢を身につけさせている.
 (株)プロアシストは理念を大切にしており,経営者の方針がぶれないことで,
社員の意思統一がよくできている.働くことは生きることであるという考えを基
に,共に働く仲間を幸せにしたいという理念がある.そして,自分・家族・仕事
という3つをバランスよく保ち続けることを大切にしている.

        (文責:北田 学(大阪府立大学大学院,博士前期課程2年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 生駒京子氏による株式会社プロアシストの創業背景から今日に至るまでの16年
間の歩みをこれまで行われてきた具体的な事例に基づき講演頂いた.国内に多く
存在する中小企業が生き残っていくためにはどうあるべきかを冷静な鋭い視点で
指摘されていた中で,プロアシストが前進し進化し続ける理由と強みを伺い知れ
た.プロアシストでは,これまで培ってきた高いものづくり技術-ハード・ソフ
ト・IT技術-を大いに活かし,創造性の高い最良のカスタマーサービスと高い技
術レベルでの企業間連携を実現されている.社員一丸となって歩んできた16年間
の慰労と功績を社員一人一人に感謝し,また社員への日頃の深い気持ちを述べら
れ,真のリーダーのあるべき姿だと深く感動した.現在問題となっている(若手)
社員の人材教育などへの解決策の糸口も見えるようなすばらしい講演であった.

                  (文責:楠川 恵津子(大阪府立大学))

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平成21年度 第2回事例研究会
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日時:平成21年12月12日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:15名
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<講演Ⅰ>「香川の観光の課題 ~讃岐うどんの成功との対比~」

ご講演者:
 香川県 大阪事務所
 副主幹 武本 哲史 氏

(概要)
 香川県を含む地方は,少子高齢化や景気悪化による企業誘致の苦戦により,定
住人口の増は求めにくく,今後は交流人口の増による地域の活性化や経済の活性
化を目指している.
 交流人口を増やす有効な手段は観光であるが,経済効果が大きいのは宿泊を伴
う観光になる.しかしながら,香川県には讃岐うどんを目的とする日帰り観光が
主流となっており,これをいかに宿泊に結び付けていくかが課題となっている.
 このため,香川県では讃岐うどんに続く観光の目玉として,2010年7月から瀬
戸内海に浮かぶ7つの島々とその母港となる高松を舞台に「瀬戸内国際芸術祭
アートと海を巡る百日間の冒険」を開催するなどアートを前面に押し出そうとし
ている.
 今回の講演では,讃岐うどんがなぜメジャーになれたのか,また,この讃岐う
どんの成功を次の観光戦略にどういかそうとしているのかという話を伺う.

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<講演Ⅱ>「技術を活かす経営を考える」

ご講演者:
 株式会社 キュービック
 代表取締役 宮田 秀典 氏

(概要)
 日本のエレクトロニクス産業は長期に渡って低収益を続けていることは,良く
知られています.これについては,様々な要因が多くの人によって語られていま
す.機器のデジタル化をトリガーとして,アーキテクチャの変化,産業構造の変
化,利益構造の変化が深く進行していることがその背景にあると言われています.
そして,それに日本のエレクトロニクス産業が追随できなかったことが収益低迷
の要因の一つであると考えられています.
 これらの状況を基にして,いま,技術経営に求められることについて,株式会
社キュービックの宮田秀典氏よりご講演頂きます.同氏は,大学にて理論物理
(素粒子論)を専攻されて学位を取得された後,32歳で大手電子部品企業に入
社,それ以降25年間に渡って研究開発部門一筋に歩まれました.最終的には中
央研究所長,執行役員,関連会社社長を経験されています.そして,昨年3月に
退社されてからは,技術部門を対象とする経営コンサルタント会社を設立され,
いま,その立ち上げに力を注がれています.また,昨年3月に退社されてからは,
地方の小都市の零細小売業も体験されています.
 これらの長年に渡る様々な経験を踏まえて,「技術を活かす経営を考える」と
題して技術経営についてのお話をお伺いします.

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 小売業は営業利益をいかに増やすかを目的とし、行政は住民満足度向上を目的
にしている。目的達成の手段として、小売業では顧客の増(回転率の増)や利益
幅の増大があり、行政ではニーズの高い事業の実施、裏づけとなる財源確保など
があげられる。
 讃岐うどんの優位性として、①県民が讃岐うどんを愛している(行きつけの店
が各家庭2~3軒)②全国と異なる文化(セルフ方式や豊富な天ぷら)③どこにあ
るのか分からないがあげられる。
 香川県の現状として、全国的な少子高齢化や景気悪化による企業誘致の苦戦な
どにより、年々「定住人口」は減っていく一方である。定住人口を増加させるの
は難しいため、「交流人口」を増加させるために讃岐うどん巡りなど観光施策を
行い、一定の成果を得ている。しかし、県内観光客の82.7%は日帰り客であり、
一人当たりの観光消費金額は宿泊客と日帰り客では約4.7倍の差があり、宿泊観
光客を増加させることが課題である。
 香川の魅力はうどんだけでなくアート、ロケ地めぐりや温泉郷などが挙げられ、
香川県の良さ(他県に誇れるもの)をいかに県外に発信していくのかも課題であ
る。
 香川県大阪事務所は観光・物産の振興や企業誘致の促進、人材UJIターンの促
進などを行っている。企業誘致の取り組みとして、ワンストップサービス、助成
金や免税、オーダーメイド方式による産業要地の整備、立地ニーズの情報収集と
訪問等を行っており、県事務所としていかに付加価値をつけていくかが問われて
いる。

       (文責:川村 武大(大阪工業大学大学院,博士前期課程2年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 「讃岐うどん」が商標登録されていないことを知って驚き、誰でも「讃岐うど
ん」屋を名乗って営業できると聞いて二度びっくりしました。原料となる小麦粉
の85%がオーストラリア産で、国産はわずか15%だと伺い、予想はしていたもの
の三度目の驚きでした。「一人一家言を持つ」(行きつけのうどん屋が3店はあ
る)と言われる県内900店のうどん屋のほとんどが日常食用の店であり、観光客
の多い土・日にはむしろ休む店が多いと伺って、「香川県の讃岐うどんは本物だ
な」と感心しました。また、香川県独自の企業誘致策を展開し、大阪に設置した
事務所を黒字で運用し、同郷者を巻き込んで観光開発に取り組んでいるところは
すばらしい。武本講師の県産品への愛着と情熱に惹かれ、「今度はゆっくり泊ま
りがけで讃岐うどん三昧に出かけてみようかな」という気にさせられました。

             (文責:長澤 啓行(大阪府立工業高等専門学校))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 日本における産業売上高のほとんどを電気機器、自動車が占めている。日本の
エレクトロニクス産業は売上高において世界の上位20社に9社が入っているのに
対し、営業利益は上位20社に3社と極端に少なくなっている。売上高は高いが利
益は低いのが日本の現状である。米国の主要ICTベンダーの営業利益率は過去10
年間の平均で14.2%であるのに対し、日本は平均3.8%となっている。この両国
の売上高及び営業利益額の地域別構成比は、米国においてはいずれも国内と海外
の比率がほぼ1:1となっている。日本の売上高はほぼ1:1であるが、営業利益額
においては8:2とほぼ国内でのみ利益をあげ、海外事業では儲けがないのが現状
である。現在はパラダイムが変わってきており、完成品、企業内垂直統合体制で
の収益は難しくなってきているのだが、それでも変化が遅いのが日本のエレクト
ロニクス産業であり、この結果として低収益に陥っているのである。企業の内部
からの改革は簡単ではないため、このような日本のエレクトロニクス産業の現状
を打破するためにも大学や海外企業をうまく使いこなす軍師の存在が必要となっ
てくる。いまは経営力が問われている時代であり、特に「技術を生かす経営力」
が問われている。

       (文責:川村 武大(大阪工業大学大学院,博士前期課程2年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 わが国のエレクトロニクス産業の現状を統計データにより説明して頂いた。電
気機器は自動車・部品と並ぶ中心的な産業であるが、2001年以降は営業利益
率の面で苦戦を強いられている。世界的に見てもICTベンダーの中で、日本の企
業は幅広い製品を扱っており売上高で上位に存在しているが、営業利益では必ず
しも優位ではない。さらに、1960年以降に設立された主要ICTベンダーがほとん
どないことが印象的であった。
 以上のような現象は、経営環境の変化に十分対応できていないことが原因であ
るとお考えであり、今後のマネジメントの重要性を強調されていた。特に、『技
術を活かす経営』が不可欠であるため、軍師のような形で外部の知識を取り入れ
ることを提案されている。
 活発な質疑応答も行われ、非常に有意義なご講演であった。

                   (文責:椎原 正次(大阪工業大学))

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平成21年度 第1回事例研究会
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日時:平成21年9月12日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:16名
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<講演Ⅰ>「材料取り合わせにおける歩留り向上に向けての取り組み」

ご講演者:
 住友林業情報システム株式会社
 代表取締役社長 豊田 丈輔 氏

(概要)
 自然の心地よさを「涼温房」設計で実現する住友林業は、コア事業として木造
の注文住宅を主力とした住宅事業を展開しています。一般に戸建の木造住宅では、
建築費の20%~30%が木工事の費用で、さらにその1/4~1/2が木材費です。2005年
のデータによると木造軸組工法では木質部材の約8割がプレカット化されていま
すので、決められた長さのプレカット部材を、母材からいかに効率的に切り出す
かは、重要なテーマです。建築費2000万円の家であれば約200万円が材料費で、
歩留りが1%向上すればおよそ1.5万円のコストダウンになります。このような
一次元の材料取り合わせ問題は、問題の構造が簡単で、上記のような材料取り合
わせのほかに、積み合わせ問題やラインバランス問題など応用範囲は広いのです
が、いわゆる“NP困難”であり効率的な解法が求められています。
 今回は、プレカットの材料取り合わせを例に、今まで取り組んできたいろいろ
なアルゴリズムについて紹介したいと思います。

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<講演Ⅱ>「何故?!日本の顧客は大手SIerに,
      予算以上の膨大なIT投資を虐げられるのか?
      (あるパッケージ提案と顧客要求仕様対応にみる
       ギャップとその顛末から)」


ご講演者:
 株式会社シンプル
 代表取締役社長 杉浦 亘 氏

(概要)
 戦後、日本のコンピュータの黎明期から現在までを振り返りつつ、それを主導
したコンピュータ・メーカー及びソフトウェア開発の足跡を辿りながら、バブル
崩壊後の日本の顧客企業の情報システム開発への取り組みの変化を眺めながら、
今の日本のSIerとかソリューション企業とかコンサルタント会社、ソフトウェア
会社の現実態を垣間見ながら、これからの時代に適したビジネスシステムを主体
とした情報システムについて考察する。昨今流行の「ソリューションビジネスや
高額パッケージによる統合管理システム」の事例を参考に、当初予算を倍以上に
超過しつつも契約SIerの呪縛と顧客の苦悩の実態を参考に真の情報システムの構
築に必要なものは、何かを考察するものである。

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 住友林業株式会社では山林経営、木材、建材の仕入れ販売、木造注文住宅設計
を事業内容としている。この木造住宅における総コストの約1割を占める木材費
に着目し、コスト削減のためプレカット材料の効率的な取り合わせ手法を研究し
ている。これはNP困難なMultiple Stock Length CSP(Cutting Stock Problem)
であり、大規模問題では適正な時間内に最適解を得ることはできない。そこでビ
ンパッキング問題に対する既知のヒューリスティック解法であるFirst Fit(入る
余地のある最も左のビンに入れる)を割付けられる側から見たアルゴリズムに変
更し、これを基に3つのアルゴリズムを考案した。1つ目は、最後に悪い組み合わ
せばかりが残りがちであるRFFの弱点を補うため、最大のアイテムサイズの材料
を含むこと、降順で割り当てることの2つをアイテムサイズ割り当ての条件に加
え、さらに最悪の選択が最後に残ることを防ぐ最終調整と呼ばれる処理を追加し
たRevised First Fit Decreasing(RFFD)である。2つ目はRFFDにおける割付けの
優劣を実際にすべての製品を割り当てたシミュレーションで判断するRecursive
-RFFD(R-RFFD)、3つ目は、アイテムサイズの割り当てをランダムとし、加えて多
数回反復することでRFFD以上の選択の多様性を目指したRFF Randomizing(RFFR)
である。
 また、Order-based modelのGAを改良し、遺伝子情報に「順序」を持たせ、有
利な特性を持つグループに優位性を持たせるエリート操作を加えた手法も提案し
た。
 FF系列の手法とGAによる解を比較し、また、整数計画法による最適解とも比較
した。最も良い結果はGAであったが、FF系列のアルゴリズムでもGAに相当する高
精度の解を圧倒的短時間(1~2秒)で得ることができた。また、研究中のアルゴリ
ズムではさらに良い結果を得られるのでCSPの有力な解法になることを期待でき
る。CSPは元々応用範囲が広い上、二次元のCSPについても一次元の応用とみなせ
るため、この手法は様々な分野で非常に有用なものとなるであろう。

       (文責:檜山 慧(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 木造住宅事業における材料取り合わせ問題であるプレカットに対し,ヒューリ
スティックな解法により短時間で近似解を求める方法を開発し,GAや数理計画法
による最適解と比較していた.経営工学会の事例研究会の事例として大変ふさわ
しいテーマであったと思われる.説明によると,一戸建の木造住宅では,木造軸
組工法では木質部材の約8割がプレカット化されているので,決められた長さの
プレカット部材を,母材からいかに効率的に切り出すかは、重要なテーマになっ
ている.建築費2000万円の家であれば約200万円が材料費で、歩留りが1%向上
すればおよそ1.5万円のコストダウンになる.そのため,最適解を求める方法と
して,一次元の材料取り合わせ問題は、問題の構造が簡単で,材料取り合わせの
ほかに、組み合わせ問題やラインバランス問題など応用範囲は広く,いわゆる
“NP困難”であり,効率的な解法が求められているので,プレカットの材料取り
合わせを例に,今まで取り組んできたいろいろなアルゴリズムについて説明があ
り,その後,活発な質疑応答が行われ,有意義な研究会であった.

                    (文責:久米 靖文(近畿大学))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 システムインテグレーターSIerと顧客企業側で問題が起こっている。「発注し
たシステムが役に立たないばかりか、保守や修正に多額の出費を強いられる。」
顧客となった企業からはこのような声が聞かれる。なぜSIerは顧客の満足するソ
リューションを提示できていないのか。これは、ソリューションビジネスがSIer
の扱うことのできるソリューションを売りにいく形態になってしまっていること
に問題がある。これではただの押し売りであり、顧客の課題や要求にこたえたソ
リューションの提示などできない。真のソリューションビジネスとは、顧客企業
の発展経緯や企業風土・企業慣習・価値観を熟知した上でビジネスプロセスを含
む全社的な視点から顧客固有の問題や課題を調査・分析する作業である。また、
真のソリューションにたどり着けないのは顧客企業が自身の理想とするビジネス
モデルを提示できていないところにも問題がある。この原因は、顧客企業側の広
い知識と視点を持ち、柔軟な思考をもつ人材が欠けているところにあり、バブル
崩壊後の対応と関係している。リストラや早期退職で熟知・熟練社員を失い、資
金不足から新たな開発をせずに既存のシステムの運用・保守を続けた結果、業務
知識やノウハウの空洞化が起こっているようだ。真のIT化、真のソリューション
を手に入れるには、バブル時期に失われた熟練社員のような開発経験や幅広い業
務の知識のある人材が必要不可欠である。また、このような人材の育成には広義
の「経営工学」が役立つ。大学の学科編成では経営工学が分断されがちだが、経
営工学は基礎学問として再度見直され、活かされるべきだろう。

       (文責:檜山 慧(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 日本のシステム・インテグレータ(SIer)誕生の歴史的背景から現在の大手
SIerの実態・日本企業の問題ある姿、日本企業に必要な真のIT化とは何かに至る
まで事例に基づき講演頂いた。日本企業のIT投資が大手SIerになされる一方で、
ITソリューションビジネスのあるべき姿の欠如が指摘された。SIerや情報システ
ムの自社開発に必要なものとして、企業の歴史・風土・習慣・価値観・ビジネス
プロセス・活用システムの熟知、企業固有の問題の的確な診断から全社的な視点
の改善提案と問題解決手法の提示が挙げられた。そのためには広義の経営工学が
基礎学問として再度見直され、活用されるべきだと強調された。日本のSIer分野
での経営工学の展開が大いに期待される。

                  (文責:楠川 恵津子(大阪府立大学))

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平成20年度 第3回事例研究会
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日時:平成21年4月11日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:22名
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<講演Ⅰ> 「地球温暖化防止に貢献する“ヒートポンプ”とは」

ご講演者:
 財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター
 国際部長 都倉 尚吾 氏

(概要)
 20世紀、人類は、爆発ともいえる急激な人口増加と同時に、エネルギー・食糧
の消費量を激しい勢いで伸長させた。これを支える地球の蓄え、吸収力は有限で
あり、この伸長の永続は不可能である。エネルギーの枯渇の問題と同時に、化石
燃料由来の二酸化炭素排出による、温暖化問題がクローズアップされている。子
孫の代まで地球の生活環境を保つことは、現在を生きる世代の責務である。
 持続可能な社会を実現するために、多くの方策が考えられるが、なかでも、自
然を生かしたエネルギー供給を増やすと同時に、エネルギーの使用効率を向上さ
せることは、緊急で重大な課題である。
 今回はエネルギーの使用側の効率という問題に焦点をあて、省エネルギー・省
CO2 性の高い“ヒートポンプ”の仕組み、省エネ効果、普及の状況などについて
都倉尚吾氏より解説いただく。都倉氏は総合商社、電力会社にて一貫してエネル
ギー関係のビジネスに従事してこられた経験を活かし、現在、財団法人ヒートポ
ンプ蓄熱センターにおいて、日本が先行するヒートポンプ技術の海外展開をリー
ドされている。

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<講演Ⅱ> 「大阪の再生と知的創造拠点の連携」

ご講演者:
 大阪市 計画調整局
 開発調整部長 佐藤 道彦 氏

(概要)
 大阪市では、企業本社の流出や産業・経済の衰退からの脱却を目指して、大阪
駅ヤードを含む都心部を都市再生緊急整備地区に指定し、建物の容積率の緩和な
どを通じて、民間事業者の都市開発意欲を誘導する都市再生に取り組んでこられ
た。
 その結果、梅田地区では大阪駅を中心に南北のゾーンで超高層ビルの開発が目
白押しとなっており、北ヤードの開発においては、ロボット・ITなどの先端分
野でのコラボレーションの拠点、ナレッジキャピタル構想を打ち出し、現在、2
013年のまち開きに向けて、その構想の具体化が進められている。
 今回の講演ではナレッジ構想と大阪再生がどのようにかかわるのかという観点
からお話を伺う。
 また、氏は今まで大阪市の都市づくりにかかわってこられたが、大阪再生には
関西圏の連携が重要との認識があり、関西での研究クラスター間の連携の模索や、
都心部と自然リゾートをITで結びつける六甲リゾートオフィス構想をテレワー
ク学会員として研究されている。

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 世界の一次エネルギー消費は年々増大している.なかでも,石炭や石油,天然
ガスといった化石燃料の消費が増大している.
 化石燃料を消費すると二酸化炭素(CO2)が排出される.日本のCO2排出量は約13
億tである.CO2の過剰な排出は地球温暖化を引き起こすとされるので,CO2 排出
量を低く抑えることが肝要である.洞爺湖サミットでは,2050年までに世界全体
のCO2排出量の50%削減を達成するという目標が掲げられた.いずれ化石燃料の量
には限りがあることも考慮し,低炭素社会を実現する必要がある.
 そのために,電力供給側は原子力発電所の安定運転,火力発電所の効率向上,
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの推進が求められる.
 電力供給側のみならず需要側のエネルギー効率を高めることも重要である.そ
のために,電気自動車の普及やヒートポンプによる高効率機器の普及拡大が求め
られる.なかでも,ヒートポンプは既にエアコン,冷蔵庫,給湯器等で実用化さ
れている.単純な燃焼式暖房の効率は1.0 以下であるのに対して,ヒートポンプ
を用いると6.0 を超える高いエネルギー消費効率(COP:定格冷房・定格暖房時の
消費電力1kW当りの冷房・暖房能力[kW])を実現することができる.ヒートポンプ
のCOP は近年著しく向上している.ヒートポンプは業務用空調や家庭用空調,自
動販売機や産業用蒸気発生器などを含む幅広い分野に適用でき,省エネを推し進
めることができる.例えば,家庭の暖房と給湯にヒートポンプを導入することで
1人1日あたりCO2を1.2kg削減することができる.もしも産業や家庭でヒートポン
プを全面的に導入すれば,理論的には日本で1億t以上のCO2 削減が可能である.
 現状では,ヒートポンプ式給湯器の価格は決して低くない.これを国際的に売
り込むことで市場を拡大し,価格を下げることによって普及の促進を図ることが
必要である.また,関西にはヒートポンプの関連企業が集積しているので,ヒー
トポンプを中心とした産業の活性化が期待される.

       (文責:北田 学(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 ご講演は,ヒートポンプがいかに地球温暖化を防止するための手段として有効
かという内容で,原理から様々な産業分野での応用などをわかりやすく説明して
いただき,大変興味を持って聞くことができた.CO2 削減問題は日本が率先して
取り組むべき課題であるが,いざ個人レベルではどのようにすればいいのかわか
らない.講演の話から家庭での給湯によるCO2 排出が家庭全体の14%以上を占め
ていることを知り,風呂好きの日本人は,まず,ここから温暖化について考える
必要があろう.コスト面ではまだ課題が多いようであるが,エネルギー消費効率
が飛躍的に向上したヒートポンプを使う蓄熱技術は,CO2 削減に貢献するだけで
なく省エネルギーによって経済的にも大変貢献するものだと感じた.また関西に
はヒートポンプ技術を持っている企業が多いということなので,この環境技術が
関西の景気をヒートアップさせることも期待している.

                 (文責:本位田 光重(大阪工業大学))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 大阪は,行政間の過剰競争や産業政策の欠如により存在感を低下させている.
大阪の再生を考えるにあたり,関西という地域,その中の大阪という視野に立っ
て新たな価値産業を生み出すことが求められる.関西の魅力は歴史的な事物に恵
まれていること,海や山によって地域が引き立てられていることである.また,
関西には学研都市などの研究拠点クラスターが複数存在していることも見逃せな
い.これらを生かすために,ナレッジキャピタルとコネクト機能の創造・産業間
の連携・知的拠点の連携が課題として挙げられる.
 近畿の産業構造は,2次産業の比率が低くなってきていると同時に3次産業の
比率が高まってきている.2次産業を支える交易インフラの要は大阪・神戸港と
関西国際空港であるが,そのいずれも,東日本における東京・横浜港と成田国際
空港に比べれば競争力が高いとは言い切れない.また,中間投入に占めるサービ
ス部門の割合は近年増加している.
 大阪再生のために,大阪駅北地区の開発が進められる.2011年に先行開発区域
のまちびらきを予定しており,開発区域の中に知的創造活動の拠点(ナレッジキ
ャピタル)を立ち上げる予定である.そこに大学や企業のIT・ロボット関連の研
究拠点を集めることを構想していて,それらの連携を図る.また,第2期では環
境をテーマにした研究の拠点となるナレッジキャピタルの立ち上げが予定されて
いる.これらのナレッジキャピタルも大阪の魅力を高める一翼を担う.
 新たな価値を生み出すために,都心の開発に加えて,環境に恵まれている六甲
山をリゾートオフィスとして機能させるという構想がある.これは六甲に点在す
る企業の遊休保養所をオフィスとして活用することで知的なサロンを形成しよう
というもので,六甲の活性化をもたらすことが期待されるものである.

       (文責:北田 学(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 大阪の玄関口である大阪駅が北側の広大な北ヤード地区を中心にダイナミック
な動きを見せている.東京の玄関である東京駅は早くからリニューアルが進めら
れており,大阪は何もしなければますます落ち込むのではないかと焦りのような
ものを感じてきました.今日の大阪が低迷しているのはもはや誰の目にも明らか
な現象で,何かしなければ東京だけでなく,京都と神戸の間で埋没してしまいか
ねないというのは大阪府民の正直な気持ちかもしれない.小生は,幼少の折は本
町に,学校に通うようになってからは堺に住んでいたが,政令指定都市になった
堺が昔のように活気があるように思えない.昔の大阪は一様に光り輝いていたよ
うな気がするが,今は強烈な光と影がまだらになり,美しさが損なわれていくよ
うな気がしてならない.そのように感じていたところに,函館の100万ドルの
夜景について30年前と今を比較した写真が日経新聞に掲載された.そこには小
生が感じていたことと同様に記事が書かれており,函館は100万ドルの夜景を
取り戻すために灯火規制をするべきとの内容であった.大阪が元気を取り戻す再
生計画が,結果的に大阪の良さ,文化を失うことなく実現できる計画であってほ
しいと願っている.

                  (文責:能勢 豊一(大阪工業大学))

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平成20年度 第2回事例研究会
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日時:平成20年12月13日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:23名
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<講演Ⅰ> 「ドキュメント管理システムの動向と活用事例」

ご講演者:
 株式会社アイ・ティ・フロンティア
 西日本支社 SI本部第二システム部 部長 中村 和之 氏

(概要)
 企業活動においては、多くのドキュメント(契約書、注文書、技術資料、仕様
書、マニュアル、検査報告書、設備保全記録、図面など)が発生します。これら
のドキュメントをタイムリーに活用し、かつ、秘匿性の高い情報へのアクセス制
御やアクセス履歴取得を管理する「仕組み」が求められています。この「仕組み」
は“人(手作業)”でも構築出来ますが、以下の理由から一般的に“コンピュー
タシステム”を利用し電子(電子化)データとして管理されています。
  -保管スペースの削減
  -原本紛失・破損・汚損の回避
  -即時性(タイムリーな検索)
 また、ドキュメント管理を行う上で、以下の要求がますます高まっています。
  -セキュリティの強化
  -ドキュメントの共有化(Know WhoからKnow How)
  -プロセスや記録の重視
 私は、1995年より主としてドキュメント管理システムの開発、企業に導入する
業務に従事してまいりました。今回は、ドキュメント管理システムの動向と企業
における活用事例をご紹介させて頂きます。

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<講演Ⅱ> 「グローバル化に向けて、日本人(学生)に望まれること」

ご講演者:
 株式会社フロントフューチャー
 首都圏営業本部 本部長 関口 勝彦 氏

(概要)
日本および海外でのJ/V企業の設立・運営を通して経験した、日本人ビジネスマ
ンと外国人ビジネスマンの仕事に対する取り組み方の違い。
また、米国とASEAN地区とのビジネスマナーの勘所の差異。
グローバル化に向けて、日本人(学生)に望まれることは何か。本質は何か。
具体例とエピソードを交えてご紹介します。

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 企業活動においては業務推進,説明責任,記録の保持維持に関して多くのドキ
ュメントが発生しており,社内に蓄積されたドキュメントを情報資産として管理
・活用するためのコンピュータシステムであるドキュメント管理システムが,企
業のマネジメント,業務活動にとって重要となっている.ドキュメント管理シス
テムによって業務の効率化,情報の共有化,内部統制への対応が行われている.
ドキュメント管理システムの基本機能は,複数のファイルに属性や適切なセキュ
リティを付けて登録する「登録機能」,必要な時に必要なドキュメントが,適当
な場所で手に入る「検索機能」,時系列的にドキュメントの改訂履歴を管理し,
バージョンを認識できる「バージョン管理機能」,ドキュメント単位に公開・非
公開や改定,削除の権限の設定,パスワードによる保護を設定する「セキュリテ
ィ管理機能」で構成されている.
 企業内あるいは部署内で重要な文書が申請,承認されるワークフローシステム
と,その履歴,属性とともに書類がドキュメント登録され,公開・共有されるド
キュメント管理システムまでの段階がすべて電子化されている.
 現在のドキュメント管理はナレッジマネジメントと合わさり,Webコンテンツ
などを含んだコンテンツ管理へと移行しており,Alfrescoのようなオープンソー
スによるコンテンツ管理システムの製品がある.

      (文責:松尾 嘉之(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 ご講演は、ドキュメントの基本から最新のコンテンツ管理に至るまで事例を交
えての内容で、短時間ながらドキュメント管理の全体が俯瞰でき大変有意義なお
話だった。ICTの発達に伴い、特に最近10年のドキュメント管理システムの
進歩はすさまじいものがあり、変化のスピードをあらためて感じさせられた。
 いまや、デジタルコンテンツの管理は、企業に限らず学校、役所などあらゆる
組織にとっては避けては通れない業務となっている。また、今後ともソフト・ハ
ードにおける記録機能や検索機能の発達によりドキュメント類の管理システムも
更に高度化する予感がある。
 しかしながら、リソースは無限であるはずがなく、また、使いやすさを考える
ならば文書標準化やルール・手順の簡素化などベーシックな管理技術の重要性を
忘れてはなるまい。
 組織におけるドキュメントの管理は、ICTが高度に発達した現代でも依然と
して古くて新しいテーマなのである。

                 (文責:河合 秀彌(河合経営事務所))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 日本の社会では,雇用などさまざまな場面で平等であることが求められている.
しかし,海外では多くのDISCRIMINATION(差別,差別化)が存在する.米国では白
人,アフリカ系,アジア系,ヒスパニックなどさまざまな人種の人間が住んでお
り,宗教や移民出身地などの違いがある.企業のトップなど経済の重要な地位に
多くのWASP (White, Anglo_Saxon, Protestant)やユダヤ系の人々が存在し,ア
メリカ社会に大きな影響を与えている.ASEANでも中国人が経済の大部分を支配
しており,華僑による地縁,血縁企業が多く,その繋がりは強い.中国系移民が
優勢なマレーシアではBumiputra(ブミプトラ政策)によって経済観念,勤勉さ
で劣るマレー人に対して優遇政策をとっており,会社を設立する際にマレー人株
主やマレー人の雇用の強制等の措置をとっている.また,シンガポールでは政府
によって報道の情報統制が行われている.
 差別の存在する米国社会でも,ビジネスにおいてFair(公平)であることを重
要とし,ルールを守るStandardize(規格化),誰にでも分かるSimplify(単純化
),方向性Consistency(一貫性)が大切である.そして,相手との会話におけ
るユーモアのセンスWitが必要である.また,米国では事業に失敗しても再挑戦
できる土壌がある.

      (文責:松尾 嘉之(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 製造業の空洞化が指摘されている日本のこれからの産業振興の一つとして,グ
ローバル化を目指す産業創生で日本人(学生)に望まれることを明確かつわかり易
く解説した講演であった.実際に米国およびASEAN諸国での企業経営者としての
経験に基づくキーワードは「差別と差別化」であるという実態は今も変わりない
と思われる.「日本のビジネスとアメリカのビジネスの違い」は,米国における
自由と平等は日本人の持っている感覚とはかなり離れていることを伺い,目から
鱗がとれる思いでした.こうした話は,なかなか経験がないと聴衆に響かないが,
講師の話はリアルな実例も交えての解説で,きわめて深い印象を与えた.さらに,
ASEAN諸国でのビジネスを展開するには,技術力も必要であるが,それ以上に企
業創設のためには人脈が不可欠で,その具体例が数多く示され,大変有意義な講
演であった.

                    (文責:中易 秀敏(甲南大学))

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平成20年度 第1回事例研究会
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日時:平成20年9月13日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:17名
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<講演Ⅰ> 「ソフトウェア会社のアライアンス戦略とその実践」

ご講演者:
株式会社タクマテック   代表取締役社長 真鍋 時良 氏

(概要)
 経済のグローバル化は一段と進み、競争も激化の一途を辿っています。厳しい
経営環境のもとで、大手企業は単独で十分に対応出来る力もありますが、その他
大勢の中小企業にあっては、経営資源が乏しいことから対応にも限界があり、死
活問題に直結すると言っても過言ではありません。
 情報サービス産業界で事業活動を行っております弊社も例外ではありません。
競争に打ち勝ち、生き残るために「どうすればいいのか・・・」。弊社では、解
決方法の一つとして、『アライアンス』を無意識のうちに選択し、実施しており
ました。
 中小企業の立場から弊社の『アライアンス』事例についてご紹介致します。

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<講演Ⅱ> 「インターネットでジュエリー販売
      ~目指すのはネットコンシェルジュ~」


ご講演者:
株式会社チェリッシュ   代表取締役 石尾 千恵 氏

(概要)
 2000年よりネット通販でアクセサリーを販売しています。シルバーのペアアク
セサリーや誕生石がついたプチネックレスなどを取扱い、ターゲットを「女性へ
のプレゼントとして購入する男性」とし、細やかなサービスで競合店との差別化
を図っています。通常、アクセサリーの購入客は女性が圧倒的に多いのですが、
あえて男性客をターゲットとしたのは、男性にとってアクセサリーやジュエリー
を買いに行くことが非常に難しいことと感じている人が多く、プレゼントを買っ
て喜んでもらいたい気持ちはあるので、その実現の場はネットショップではない
かと考えたからです。プレゼントを選ぶお手伝いをして、思い出に残る記念日を
過ごしてもらう「コンシェルジュサービス」のプランで大阪府の中小企業支援セ
ンターより新規事業支援のテイクオフ大阪21に認定され、2007年4月に独立起業
いたしました。
 この度は、私が今までやってきた事と、これからの取り組みをお話しさせてい
ただき、新しいアイデアなど頂けたらと考えています。よろしくお願い致します。

(参考URL 大阪府テイクオフ21)
www.mydome.jp/takeoff/company/174.html

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 経済は下降局面に入り需要が減り,国内外において競争力が激化しており,情
報サービス産業界においても生存は厳しくなってきている.また中国,インド,
ベトナムにおいてはIT技術者が増えて技術レベルが向上しているのに加え,人
件費が安く,技術者の確保が容易である.それに対し,日本では少子化に伴い若
年労働者が減少し,高度な技術と知識を持った人材が不足している.また,中小
企業では資金不足によって自社で研究開発する余裕もなくなってきている.少人
数では大型物件の対応は厳しく,経営のパワーは落ちてしまう.このような状況
を打開するために,企業間でアライアンス(提携)を行っている.アライアンス
の形態としては,自社の持っていない技術を他社の技術で補完する場合や同業種
でもマーケット域の異なる企業と提携する場合,ライバル企業同士で提携する場
合もある.アライアンスを行えば両社に効果があるが,片方がもう一方を飲み込
んでしまう場合もある.アライアンスを具体的に進めるには,まず相手を探して
こなければいけないが,これには人脈も必要になってくる.そして,提携するに
は経営者同士の納得・合意がなければならない.また,後で問題になることが多
いので,経費や報酬などのお金の配分については事前に話しておく必要がある.
提携することになっても,両社の社風が違えば,社員間で問題が起こり上手くい
かないこともある.経営環境は厳しくなっていくが,自社内を整理してできるこ
とからやっていくことが大切である.アライアンスはその1つの方法である.

       (文責:東 晃司(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 ソフトウェア開発の中小企業が,いかに厳しい環境の中で,生き延びていくか
を「アライアンス」(業務提携)をキーワードとして紹介して頂いた.そもそも
規模も社風も異なる企業同士が,同じ目的で仕事を進めるのは,決して容易なこ
とではない.そのポイントは,“尺度”を最初に合わせる事,と講演者は強調さ
れた.ややもすると大企業に押し切られがちになりそうだが,それを最初にお互
いの利益につながるように環境整備をして,若い社員にやりがいをもって,全力
投球させる その努力を継続して続けてこられた経営姿勢に感銘した.また,優
秀な人材の集め方では,学校の先生方との長年にわたり,コネクションを強く持
ち続ける事が重要だという点も参考になった.

            (文責:大坂 吉文(住金マネジメント株式会社))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 株式会社チェリッシュはネットショップを運営し,ジュエリーの販売を行って
いる.ジュエリーといえば女性が買うものというイメージがあるが,株式会社チ
ェリッシュが運営するネットショップでは購入者の7割が男性客である.しかし
男性向けの商品を扱っているのではなく,プレゼント用のペアリングやペアネッ
クレスを多く取り揃えているのである.流行に左右されず,継続して販売できる
商材として,誕生日プレゼントとしてのジュエリーを軸に販売を行っている.流
行に左右されないという点で,ジュエリーは洋服などの他のファッション商材と
比べ優れている.また誕生月ごとに違う誕生石が有名なので,同じデザインのも
のでも誕生石の部分を交換すれば長期間販売することも可能である.このように
販売する商材やターゲットなどを工夫して,少人数で効率良く,価格競争に巻き
込まれない安定した運営を目指している.
 2007年にはコンシェルジュサービスに新規性が認められ,新規事業支援のテイ
クオフ大阪21に認定された.男性はプレゼントを購入するのが苦手である.そ
こで,このサービスではメールでの相談によりプレゼントを渡す相手の特徴や好
みなどを聞き,お客様に商品を推薦するのである.このメールでのやりとりによ
ってお客様に親近感を感じてもらえることができる.そして,コンシェルジュサ
ービスを受けて購入されたお客様はリピーターになる可能性も高い.ネット上に
は数多くのジュエリーショップがあり,現在は下請け企業の参入により安い商品
も出回っている.そこで,小規模ネットショップが生き残るには,大手の出来な
い細やかなサービスが重要になってくる.日本の男性をプレゼント上手に,そし
てプレゼントを買うならこのショップで,と言ってもらえるようになることが目
標である.

       (文責:東 晃司(大阪府立大学大学院,博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 アクセサリには疎い私ですが,講演内容には世間一般で共通して言えることも
多く,情報収集には労を惜しまず,必要な時にはすぐに専門家を訪問したという
お話が何度かあり,情報収集や人脈形成が重要ということを再認識できました.
 また,研究やシステム開発などでも,行き詰った時に全く別の観点から解決の
糸口を閃くことが多々あります.そのため,講演資料にはない体験談など,今後
役に立つことが多いのではないかと拝聴させていただきました.
 特に,メールアドレス集めやSEO対策に対して「今では当たり前のことだが,
当時から・・・」というお話を伺い,やらなければならないとわかっていても実
際には実行できていないということも多く,当然のことを意識せずに実行できる
ことや,先を見据えて物事を考えることが成功の秘訣ではないかと感じました.

          (文責:川﨑 正秀(ダイキン情報システム株式会社))

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平成19年度 第3回事例研究会
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日時:平成20年4月12日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:24名
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<講演Ⅰ> 注目される「観光ビジネス」

ご講演者:加藤ビジネスクリニック 代表
     加藤 弘治 氏

(概要)
 平成15年に小泉首相によって観光立国が宣言され、平成18年に観光立国推進
基本法が制定されました。かたや地域振興という観点から平成19年には中小企業
地域資源活用促進法が制定され、その中で観光開発が奨励されるなど、わが国で
もようやく「観光」が注目されるようになって来ました。サービス業の生産性向
上がわが国にとっては大きな課題であると言われておりますが、観光振興はこれ
からわが国の経済にも大きな影響を与えるものと考えられます。
 しかしながら、わが国では「観光」についての理解もさまざまのようです。
 そもそも観光とは一体何か?そして、わが国では、どのように展開されている
のかなど最近の動向、課題などについて永年斯界で活躍されたご経験をもとにご
紹介頂きます。
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<講演Ⅱ>「あきらめない風土作り」

ご講演者:株式会社大阪ツルヤ 代表取締役
     髙野 祥太郎 氏

(概要)
 株式会社大阪ツルヤは、平成15年に設立された新聞残紙の回収を業としてい
る会社で、この最近三年間で業績を3倍と驚異的に伸ばしています。当社にとっ
ては、納入先である大手の製紙原料問屋並びに仕入先の新聞販売店との取引が業
績を左右するキーポイントとなります。
 髙野社長は、業界の旧態依然とした取引方法からの脱却、近代化を図るべく、
当社の事業をサービス業と捉え「仕入先、納入先に心から喜んで頂ける営業活動」
の実現を目標に掲げ、そのための経営の最重要課題を「人材育成」と位置づけて
社員教育・改革に取り組んでこられました。
 今回、社長の人間観、仕事観、成果を生み出すに至ったユニークな活動の経緯
などご紹介頂きます。

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 平成18年に観光基本法が観光立国推進基本法へ改定され,2008年には国
土交通省に観光庁が創設される.観光学を学ぶことのできる大学も43校にのぼ
り就職人気ランキングでも観光業の企業が文系学生のランキング上位に入り,観
光に注目が集まっている.しかし,観光とは遊びであるというイメージが強く誤
認も多い.本来は国の文化,歴史,人,物のような国の光を見ることである.2
006年には世界の観光産業における雇用は2億3430万人となり,就業者全
体に占める割合は8.3%となっている.さらに,観光ビジネスの輸出額の世界
総額は124兆6500億円と自動車や食品よりも大きなビジネスとなっている.
2007年の訪日外国人旅行者数は733万人と過去最高になり,さまざまな地
域で来訪者を増やす取組が行われている.例えば,境港市では「水木しげるロー
ド」を設置し,地域の人達が協力して取組み,来訪者を増やしている. また,
工場や研究所などの訪問,ものづくり体験などを通じて訪問者に企業イメージの
向上,購買意欲などを期待する製造業と観光業の連携した取組も行われている.
このような取組の成果として,訪日前の日本のイメージでは「人々が親切で好感
の持てる国」と思っている人が63%から訪日後には86%と向上している.日
本の財産は人で,また空気,水などの環境面を含めた観光を重視して取り組んで
いかなければならない.このような来訪者を増やす取組は地域によってはまだま
だこれからという地域もあり,豊かな地域づくりの中核に「観光」を据えるよう
な意識改革が課題である.また,観光振興のための必要資金を確保しなければな
らない.これらの課題克服に2008年に創設される観光庁に期待がかかる.

      (文責:長岡 孝忠(大阪府立大学大学院,博士前期課程2年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 観光産業の経済規模は非常に大きく,近年,我が国も力を入れつつあることが
よくわかった.また,観光学を学べる大学も多数存在し,全国で約10,000人規模
の学生が専攻していると解説をして頂いた.政府だけでなく若い世代にも着目さ
れている分野とのことである.
 そして観光は本来,その地元の人が暮らしやすい環境を整備することである.
すなわち観光産業は,地域経済の活性化や地域づくりに貢献し,便利さから豊か
さへの転換を図ることができるという点に,強く感銘を受けました.
 しかし課題の一つとして,観光ビジネスをリードできる人材育成を指摘された.
質疑を通じて,戦略を立案することができ,経営・情報・語学に堪能であること
が要求される能力とのお考えを述べられた.
 最後に観光産業という分野においても,経営工学の貢献できる部分が十分に存
在することが印象的であった.

                  (文責:椎原 正次(大阪工業大学))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 株式会社大阪ツルヤは,髙野社長の様々な分野で社会貢献していきたい,本当
のサービスとは何か,などの夢と理想から作られた企業である.経営理念として,
先ずお客様に良いサービスをし,その後全社員がお客様に心から喜んで頂く「先
義後利」を掲げ,心の利益を大切にし,お客様から頂く声の回数が株式会社大阪
ツルヤを支えている.会社を設立した当時は,自分が作った会社であるという自
負から会社の物すべてが自分の物だと考えていた.その結果,社員に対して小さ
な事に対しても気になり,社長自身にも余裕が無く,社員に厳しく接しすぎて社
員が離れてしまい,会社の売上もあまり上がらず苦しい時期もあった.しかし,
そこで会社に一番大切なものは,お金ではなく,物でもなく,人であるというこ
とに気づく.お客様が社員を見ればそのイメージが会社のイメージになり,社員
がいなければお金も物もついてこないし,会社自体が潰れてしまう.それからは,
人材育成を軸にし,人を大切にする会社を目指し経営を行っている.人を大切に
する社風になってからは,当時の売上が約1000万円から,2年余りで約35
00万円にまで上がった.また,髙野社長は夢を大切にしている.社員全員と様
々な夢を共有し,夢について社員とコミュニケーションをとり,夢を持たせるこ
とで社員に自信をつけさせ,夢を叶えるために自分が今何をしなければならない
かを考えさせ,夢を近づけ叶えるようにする社員教育を行っている.現在の髙野
社長の夢は9年後までに,インド支店を設立し,そこに出向いて働いている姿を
写真に収めることである.本気で夢を語り,期限を切って本気で夢を実現させる
努力をすることが,夢を実現させる力になる.

      (文責:長岡 孝忠(大阪府立大学大学院,博士前期課程2年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 ご講演に際して,髙野氏より平成12年の創業以来の沿革を紹介いただいた.ま
た株式会社大阪ツルヤのお客様に対する基本精神として「先義後利」のもと,全
社員の方々が「仕入先様・納入先様より心から喜んで頂ける営業を目指している」
ことを説明いただいた.具体的なモットーとして「安心感・親近感・スピード」
を掲げ,またそれらを実現するための会社の風土作りとして,まず全社員の方々
がこの会社での勤務を通して実現を目標とする夢をもつことの重要さが述べられ
た.さらに夢をもつことをサポートするにあたっての代表取締役社長である髙野
氏の役割と社員の方々に対して接する際の姿勢を何度も繰り返し紹介いただいた.
このようなご講演を拝聴し,人と人の関係において指導・先導する立場の人間に
必要なものの考え方ならびに姿勢に関して貴重な実践的報告を聞かせていただく
ことができ,極めて参考なった.

                  (文責:有薗 育生(大阪府立大学))

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平成19年度 第2回事例研究会
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日時:平成19年12月8日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:25名
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<講演Ⅰ> 電機業界における株価と業績・外部要因の相関・時系列分析

ご講演者:ウエダビジネスプランニング 代表
     大阪府立大学 客員研究員
     ファイナンシャルプランナー(CFP)
     植田 英三郎 氏

(概要)
 日本の個人金融資産は1500兆円と多額であるが、その運用区分のうち預貯
金が55%を超える構成となっております。一時話題となったデイトレーダーを
含む個人投資家の株式投資や、投資信託や変額年金保険など株式への間接投資が
増加傾向であります。異常な低金利時代の終焉のためにも、株式市場のより健全
な拡大が必要であるというのは多くの意見の集約されるところであります。そん
な植田氏の思いと現役ビジネスマン時代に長らく身を置いた電気業界をテーマに
して、株価の形成の要因と時系列解析での株価予測に取り組んだのが表題の論文
であります。
 講演の要旨は、「株価形成の内部要因と外部要因の分析では、常識と考えられ
ていたこととは別の結論が得られた。また時系列解析による株価予測はある一定
の精度が得られた。投資ビジネスへの活用が検討されるレベルではないが、対象
を個別銘柄から株価指標に変えることや、変数の採用数によっては面白い展開が
予測される。」などの点をわかりやすい視点で紹介していただきます。

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<講演Ⅱ>「安くて、速くて、クルクル変わる」システムとは
     ~企業における、ローコストでの、システム開発の実例紹介~

ご講演者:ゼット株式会社 システム部 部長
     関西学院大学 ビジネスマイニング研究センター 客員研究員
     瀬山 正 氏

(概要)
インターネットを利用し、ユーザーに使ってもらえるシステムとは、を、追求し
今も尚、変化し続けているシステムの内容説明と、尚、ローコストで、実現した
経過、内容の紹介

システムのプロ集団でなくても、ここまで、開発、運用、メンテナンスが、でき
ていることの紹介

100%自社開発であるが、システム部員のスキルは、他社と比べ、低くいが、
それでもできている。

年間売り上げの伸び、及び 10年間の<B to B>での、実績経験話を紹介しま
す。

インターネットを利用し、今後の<B to B>の可能性まで、紹介します。

素人集団でも、ここまで、作成運用できることを、分かりやすく、実演をみなが
ら紹介します。

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「学生会員による講演内容のまとめ」および「参加者の感想」
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<講演Ⅰ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 電機業界9社について15年間(1991年~2005年)の株価の実績をもとに相関・ 時系列分析を行い、株価形成の要因を調査した。まず、株価形成の要因として、 業績(純利益)、NY株価、円/$為替レートに着目し、これらと株価の相関関係 を分析した。結果として、株価と純利益についてはほとんどの企業で相関が見ら れなかったが、株価とNY株価については多数の企業で相関が見られ、このことか ら、株価は純利益に反応する度合いは小さく、NY株価に最も反応するという結果 を得た。また、株価と円/$為替レートについて多数の企業で逆相関が見られた ことから、円安であれば株価は下落し、円高であれば株価は上昇していることが わかった。これは電機業界という輸出型産業を対象としたためであると思われる。
 続いて、VAR(多変量自己回帰モデル、Vector Autoregressive Model)を用い て時系列分析を行った。6ヶ月を1期として1期前および2期前のデータから当期の 株価を予測した。4変数(株価、純利益率、NY株価、為替レート)、3変数(株価、 純利益率、為替レート)、2変数(株価と純利益率、株価とNY株価、株価と為替 レートの3組)の各モデルについて、2000年5月から2005年5月の株価予測値と実 績値との絶対乖離率(乖離率の絶対値)を求めた。その結果、9社平均で4変数で は18.1%、3変数では19.3%、2変数では19.4%(3組の平均)となった。当然のこと ながら考慮した変数が多いほど精度は高くなった。年間の株価移動率は9社平均 で年間最安値の100%(年間最高値が年間最安値の倍)程度と大きいことを考え ると、ある程度の精度を達成できたといえる。投資ビジネスに活用できるほどで はないが、変数の採用方法によっては今後面白い展開が予測される。

       (文責:宇崎 尚昌(大阪府立大学大学院、博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 株価は非定常の時系列データで元来「ホワイトノイズ」と言われている。そのた め予測することは非常に難しい。本講演では、この株価の予測に関して、自社の 業績と社外のNY株価や為替レートとの両面から行ったアプローチを分かりやすく 解説して頂いた。示された期間である15年においては、同じ電機業界の会社で もそれぞれ違う要因と相関をもって株価の挙動を示していたことが報告され、予 測の難しさを改めて思い知らされた。その一方、(1)株価形成の最大の要素と考 えられる業績が意外に影響を与えていないことが提示された、(2)多変量自己回 帰モデルにおいて変数投入の影響の評価方法を提示された。そのため、実際の データをもとにした研究に携わるものには、多いに参考になり、かつ、興味をそ そるものであった。

                     (文責:辻 洋(大阪府立大学))

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<講演Ⅱ>

[講演内容のまとめ]-----------------------------------------------------

 少子化によるスポーツ人口の減少などでスポーツ用品業界の現状は厳しいもの となっている。そんな中、卸業のゼット株式会社では、スポーツ用品店などの小 売店向けの受発注オンラインネットワークシステム「Z-NET」を1998年に導入し、 実績を上げている。
 「Z-NET」の特徴はすべて自社開発であるところにある。独自のコマンド(Mコ マンド)を使用することで、プログラミングのプロでなくてもシステムの開発、 運用、保守が容易に行える。そのため、利用者の声を迅速に反映することが可能 となり、また、スポーツ用品店などの小売店を対象としているためパソコンに不 慣れな利用者も多い中、誰もが簡単に利用できるシステムを実現できた。また、 取扱商品アイテム数は約250万点と品揃え豊富で、在庫がないものについてはメー カーの在庫を表示するなど、利用者の必要とする情報が簡単に得られるように工 夫している。このこともあって接続店数は年々増加し、2007年4月現在では2600 店、エリアは北海道から沖縄まで全国に広がっている。
 今後はこのB to Bでの成功をB to Cへの展開のヒントにしたいと考えている。 楽天、ヤフー、アマゾンのような人気サイトに出店すれば手数料がかかるため利 益を得ることは難しい。そこで、B to Bで行ってきた経験から、品揃え豊富なア イテム数を扱い、仕入れ先の在庫・物流を利用することで在庫を持たずして在庫 数を管理し、顧客の求めている新鮮な商品を毎日出品できる自社サイトを運用す ることがB to Cでの成功につながると考えている。

       (文責:宇崎 尚昌(大阪府立大学大学院、博士前期課程1年))

[参加者の感想]---------------------------------------------------------

 同じ電子商取引(EC)でも、B to CとB to Bでは、システムの狙いが異 なることがよくわかり、システムを構築する上で注意する必要があることに改め て気づかされました。
 私たちの部門も、基幹システムの一部としてB to Bのシステムを構築する立 場にあります。その場合は、B to Cのような見た目の華やかさよりも、如何に 利用者にとって使いやすいものにするか、そのためにはシンプルな操作性やレス ポンスにこだわりをもって取り組んでいくことが重要であり、「ユーザに利用し ていただいて、はじめてシステムの価値が生まれる」というお話は全く同感です。 また最近、現場力ということがよく言われますが、現場のノウハウやニーズを すばやくシステムに反映されている点については、私たちにとっては少し反省さ せられました。ただし、なぜ短期間でシステム変更が可能なのか?コマンドを利 用してシステムを構築されているというお話でしたが、もう少し具体的に聞けた らよかったと思いました。

          (文責:板垣 宏明(ダイキン情報システム株式会社))

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平成19年度 第1回事例研究会
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日時:平成19年9月1日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:28名
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<講演Ⅰ> 「農業の課題と経営支援について」

ご講演者:中小企業診断士(中小企業診断協会 副会長)
     中小企業診断協会 農業経営支援センター
     迫間 俊治 氏

(概要)
・発展途上国の需要急増等により、世界の食料需要は増加してきており、それに
 伴い食料の価格の上昇も予測されます。
・そうした中で、日本の食料自給率は40%程度(カロリーベース)といわれていま
 す。
・日本の農業は、担い手である農業者の高齢化、都市労働者に比較して所得の低
 さ、環境問題等多くの課題を抱えています。
・国(政府)は、自給率の向上、魅力ある農業・農村づくりのために新しい施策を
 打ち出しています。
・これらに対し、経営コンサルタント集団である中小企業診断士(診断協会)も、
 経営面から、農業を支援しようと動き出しています。

上記の状況を、
 1.農業を取り巻く課題
 2.国の農業政策
 3.農業経営への支援活動
として、概要をお話させていただく予定です。

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<講演Ⅱ> 「ベンチャー・中小企業の知的資産経営とは」
     ~知的資産経営報告書を用いた新たな産業振興の取組として~

ご講演者:京都工芸繊維大学 地域共同開発センター 准教授
     中森 孝文 氏

(概要)
 知的資産経営とは、技術・ノウハウ、組織力や顧客ネットワークなどの目に見
えにくい企業固有の経営資源である「知的資産」を活かして企業価値を高め、他
社が模倣できない持続的な発展を目指す経営です。具体的には無形の知的資産に
気付きその活用の機会を捉え、実践するという3つの過程を経ることにより行わ
れるものですが、実践にあたり知的資産経営報告書を活用することが効果的です。
同報告書は、スウェーデンで1995年に世界で最初に開示されて以来、デンマーク
やドイツなどでガイドラインが策定されるなど、主に欧州での取組が盛んと言え
ます。
 わが国でも経済産業省が積極的に奨励しており、2005年10月に「知的資産経営
の開示ガイドライン」を策定するとともに、2007年3月には「中小企業のための
知的資産経営マニュアル」を公表しています。
 この知的資産経営報告書の用途として顧客開拓、金融確保、従業員教育などを
挙げることができますが、ベンチャー・中小企業への支援活動を通じて、これら
の企業にとっては特に顧客開拓のための経営戦略の検討に役立つものと考えてお
り、現在、京都府と連携しながら作成支援のための事業等を実施しております。
今回は、知的資産経営報告書の作成事例と、報告書作成ノウハウの地域振興プロ
ジェクトへの応用事例を紹介します。

 1.知的資産経営の概要
 2.ベンチャー・中小企業における知的資産経営報告書作成支援状況
 3.地域振興プロジェクトへの応用事例紹介

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平成18年度 第3回事例研究会
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日時:平成19年4月14日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:30名
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【担当副査からのご案内】
今回は,統一テーマ『内部統制と業務の「見える」化』について,研究会を開催致します.ご講演は,以下の2部構成となります.

1.内部統制について(宮﨑 泰夫 氏)
・内部統制とは
・内部統制の歴史と重要性
・ライブドア事件
・米国SOX法対策
・日本版SOX法

2.業務の見える化(樋口 友紀 氏)
・新しい業務フローの書き方ルールBPMN手法
・それを簡単に実現するiGrafx
・記述事例
・シミュレーション
・導入事例
・産能大手法との相違

ご講演者のお二人は,上記テーマにて,5月頃に中央経済社から著書を御出版の
予定です. 両著者による紹介ということで内容にも迫力が出るかと存じます.
概要は以下のとおりです.
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<講演Ⅰ> 内部統制について

講演者:株式会社インデペンデンス 代表取締役社長 宮﨑 泰夫 氏

(概要)
 どの企業にも存在して当たり前のように思われる業務フローが現実にはそれほ
ど普及,活用されてはいません.業務フローとシミュレーションを道具立てに,
団塊世代と共に流出する業務ノウハウの保護と改善に関するサービスを検討しだ
したのが2005年の春先でした.誰が考えても正論ではありますが,業務フロー整
備に投資しようという前向きな企業は極めて少ないようでした.ところが,ニュ
ーヨーク株式市場に上場している日本企業は米国でのSOX法に対応するため全社
的な業務フロー整備に取り組んでいました.また,システム投資の合理化のため
に業務フロー整備に取り組む国内銀行にも出会いました.2006年になって,国内
でも日本版SOX法の話題が広がり,多くのIT系サービスはビジネスチャンスとし
て歓迎しています.内部統制が要求するところを歴史的な経緯の中でとらえ,法
的なハードルを事業的なメリットにしていくための考え方について紹介したいと
思います.

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<講演Ⅱ> 業務の見える化

講演者:日本学術振興会 特別研究員 樋口 友紀 氏

(概要)
 2008年より,企業の内部統制の強化を目的として日本版SOX法が導入される予
定となっている.SOX法は内部統制の枠組みについて「リスクの評価・対応」
「情報と伝達」「モニタリング」「ITの利用と統制を重視」等の業務処理統制
を規定したものである.そのため,SOX法導入以降は「組織内の情報」の徹底し
た管理が不可欠となり,従来以上に業務プロセスの可視化,そして記録の保持へ
の取り組みが必要となるのは明白だろう.
 そこで,本講演ではこれらの規定への対応策として最も有効な手段であると考
えらえる,「業務フローチャートの作成」をテーマに解説を行う.業務フローチ
ャートを作成する意義は,社内における業務の可視化だけにはとどまらず,業務
プロセス内の分析や問題点の洗い出し,組織や体制の見直しを可能とする等,様
々な部分にある.また,全社で共有する知識として業務フローチャートを最大限
に活用するために,その記述にはBPMN(Business Process Modeling Notation)
表記法を用いる.これは全てのビジネスユーザーが特別な知識を必要とせず簡単
に理解し,描くことのできるような表記法として新しく開発されたものであり,
産能大方式などと同じく視覚的な表記法を用いている.なお,業務フローチャー
トの作成ツールには,iGrafxというソフトを使用する.

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平成18年度 第2回事例研究会
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日時:平成18年12月2日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:22名
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<講演Ⅰ> 戸建住宅事業における生産管理システム

講演者:住友林業株式会社 執行役員情報システム部長 豊田 丈輔 氏

(概要)
「木を感じる」をテーマに事業を展開する住友林業では,コア事業として戸建の
木造注文住宅を主力とした住宅事業を展開されています.住宅建築は,基礎,建
築,電気工事など様々な業者がそれぞれの工程を分担し3万点に及ぶ部品を建築
現場に運搬し組み立てる作業であり,現場は日常生活の場である住宅地域に散在
しているという特徴があります.住宅建築の生産管理は一般の工場の生産管理と
は違う観点からのシステムの構築が求められます.全国3500ヶ所の建築現場を管
理する住友林業では,協力会社と一体となってケイタイを活用した生産管理シス
テムを運用し大きな効果を上げておられます.今回,住友林業のCIOである豊田
丈輔氏から,この特徴あるシステムについてケイタイの活用という視点を中心に
紹介していただきます.

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<講演Ⅱ> オフショア・ソフトウェア開発における
     管理者のリスク・マインドを探る

講演者:大阪府立大学大学院 工学研究科 知能情報工学分野 教授 辻 洋 氏

(概要)
 日本のIT業界では,人材確保・コスト削減・納期厳守などを目的とした,ソフ
トウェアの海外ベンダへの開発委託が急増している.しかし,海外の企業と日本
の企業とのビジネス習慣の違いなどを原因としたリスクも多い.これまでソフト
ウェア外部開発委託のリスクに関する知見の多くは,プロジェクト・マネージャ
の暗黙知に潜んでいた.
 そこで,報告者らは,その一部をアンケートという形で表出化し,プロジェク
トを特徴付ける14の属性のどれがどの程度リスクとしてみなせるかをデータマ
イニングすることにより,プロジェクトマネージャのマインドを探った.また,
データマイニングの結果を用いて,将来のオフショア開発のリスクを事前評価す
るツールも開発した.
 本講演では,この分析の経緯・手法・結果を事例報告するとともに,この調査
の意義を「ナレッジ・マネジメント」「日米の差異」「ソフトウェア開発の計量
化」という3つの視点から考察する.
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平成18年度 第1回事例研究会
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日時:平成18年9月16日(土) 14:00~17:00
場所:ダイキン情報システム株式会社
参加者:20名
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<<講演Ⅰ> グループ経営戦略とアウトソーシング>

講演者:阪急電鉄株式会社 内部監査部長 石井 康夫 氏

(要旨)
阪急電鉄グループでは,グループ経営戦略として「コア事業への集中,知識・ノ
ウハウ集約型事業への特化,競争優位の確立」を『グループ再編3原則』に掲げ,
連結経営の強化に取り組んでこられました.その一環として,グループ経営の更
なるメリットを追求するため,『間接部門のシェアードサービス化』を推進して
こられました.今回は,推進プロジェクトのリーダーとしてシェアードサービス
会社を立ち上げ,グループの間接業務の効率化,高度化に取り組んでこられた石
井康夫氏から「アウトソーシングの歴史的背景・今日的意義,グループ経営戦略
におけるシェアードサービスの位置づけ,並びに阪急電鉄グループにおけるシェ
アードサービスの展開」等に関してご講演頂きます.

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<<講演Ⅱ> 町工場が目指すIT経営戦略とは>

講演者:有限会社 大阪製作所 代表取締役 後藤 良一 氏

(要旨)
有限会社大阪製作所では,間接業務の効率化のためのコンピューター導入を皮切
りに,生産管理,原価管理,納期管理にデータベースを活用,3次元CAD/CAMの導
入,HPを活用した新規顧客の獲得など,積極的にITを活用して経営革新を進めて
こられました.今回は後藤良一氏からIT化に関する考え方,進め方等についてご
講演頂きます.
ご講演をお願いしております後藤 良一 様の有限会社 大阪製作所は,
「第1回関西IT百選優秀賞」
http://www.it100sen.com/recommend_IT_100/announce_select_IT_100.html
を受賞されております.
ご講演では,多くの会員の皆様がご関心をお持ちの「IT導入」に関しまして,優
良企業のノウハウをお話しいただけることと存じます.
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